我々が住む世界は、一般的には三次元と言われている。
三次元とは、縦・横という平面(二次元)に対して、高さを加えたものである。
地球上には縦・横・高さの立体空間が存在するので、三次元と言われれば確かにそうだ。
四次元とは立体空間である三次元に「時間」を加えたものだ。
この世には「時間」も存在するので、この世は四次元空間だと考える事もできる。
しかし、ここで言う「時間」とは、時間という空間を移動する事であり、単に時間が存在すれば良いというわけではない。
時間を移動するとは、簡単にいえばタイムマシーンであるが、現実的には不可能な話だ。
アインシュタインの特殊相対性理論によれば、光と同等のスピードで5年間旅をし、地球に帰ると60年間が経過しているという。
特殊相対性理論を語る際、面白いエピソードがある。
時速300kmで進む新幹線の中で、逆方向に時速100kmのスピードでボールを投げた場合、外見上ボールの速さは時速400kmとなる。
しかし、光の速さでボールを投げた場合、光の速度+100kmにはならず、あくまでも光の速度にしかならない。
これは、アインシュタインの光速を超えるスピードはこの世には存在しえないという理論に基づくものだ。
だが、この理論にも腑に落ちない点がある。
宇宙創成の引き金となったビッグバンは、爆発直後に光の数万倍・数億倍というスピードで膨張したという説はどうなるのだろうか?
確かに一瞬にして広大な宇宙が誕生したとすると、光の速度ではありえない事だ。
ビッグバンでは、爆発地点から半径数億光年もの宇宙空間が数億分の1秒で形成された。
これが正しければ、光速を遥かに凌ぐスピードで宇宙は膨張した事になるのだ。
これはアインシュタインの特殊相対性理論を否定するものなのか?
特殊相対性理論と一般相対性理論の違い
特殊相対性理論は、重力の影響下にない理論である事に対し、一般相対性理論は重力の影響下にある理論である。
特殊相対性理論では、全ての物質の移動は光速を超える事はありえないが、一般相対性理論下では話が違ってくるのだ。
一般相対性理論でいう宇宙の膨張は、空間物質がある座標点から遠ざかっていく事を意味している。
すなわち、一般相対性理論においては、空間物質は光速を超えるスピードで移動しているのである。
よって、アインシュタインの理論が矛盾しない事になるのだ。
仮想5次元空間
四次元空間は理屈で理解できるが、五次元空間とはどんな世界なのだろうか?
トップページでも書いたが、現在仮説として2つの考え方がある。
1つはブラックホールの出口という説、もう一つは複数宇宙論に基づく宇宙と宇宙の連絡通路、あるいは、宇宙と宇宙の間の空間という説である。
連絡通路を五次元とするなら、間の空間を六次元とする説もある。
1.ブラックホール
ブラックホールはご存じの通り、一度飲み込まれれば光さえも脱出不可能な暗黒の世界である。
しかし、小さなブラックホールであれば僅かだが光を放出している様子が観測されており、全く出口が見えないという事もなさそうだ。
2013年4月14日、独立法人理化学研究所は、星がブラックホールに吸い込まれる最後の100分の1秒の姿を捉えた。
白鳥座X-1を観測していた観測衛星「すざく」が、硬X線検出器で10億度を超える高温ガスを観測したものだ。
まさにブラックホールが星を呑みこむ瞬間を捉えたもので、存在を証明する貴重な観測データといえるだろう。
これほどの高エネルギーを持つブラックホールの世界だ、中心部分や入口・出口などは、もはや五次元世界と言って良いのかもしれない。
2.複数宇宙論
細菌になって突飛もない理論が出てきたが、むしろこう考える方が自然ではないかという考えがマルチバース理論である。
マルチバース理論(多元宇宙論)は、何もない無の世界で突如大爆発を起こしたとされるビッグバンをも納得させられる仮説である。
ビッグバンが始まる前は「無」の世界だったが、無の世界にゆらぎが生じ、やがてとてつもなく小さな点が大爆発を起こし、一瞬のうちに広大な宇宙をつくりあげた。
「ゆらぎ」とは、わかりやすく言えば沸騰したお湯にブクブクと湧く泡のようなものと考えてもらいたい。
泡は当然1つではなく、複数存在する。
その1つ1つの泡が1つの宇宙を形成し、複数の宇宙が存在するという考え方がマルチバース理論だ。
それぞれの宇宙と宇宙の間には空間が存在し、第一宇宙と第二宇宙を繋ぐ通路が存在する可能性もある。
これら「空間」や「通路」が、五次元・六次元という世界なのかもしれない。
宇宙戦艦ヤマトで知られる瞬間移動「ワープ」は、もしかしたら宇宙と宇宙を繋ぐ通路を通れば体験できるのかもしれない。